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悪人列伝―中世篇 (文春文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 174936 位
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小粒な人物が多く、義満以外は元々「悪人」ではないでしょう
日本史上「悪人」と呼ばれる人物を考察したもの。本書は中世編で対象は、「藤原兼家」、「梶原景時」、「北条政子」、「北条高時」、「高師直」、「足利義満」。本人を論評するのではなく、「何故、彼らが悪人と呼ばれるようになったのか」を時代背景などを踏まえて考察している点が特徴である。義満と政子を除くと古代編等より人物が小粒で、必ずしも「悪人」の評価が定まっていない人選に思えた。
「藤原兼家」の章ではむしろ花山天皇の色乱ぶりがメインである。後は兼家・兼通兄弟を中心とする藤原氏内の権力闘争。兼通を兼家と誤記している箇所があるのはご愛嬌か。"天皇を出家に追いやったのは史上兼家だけだ"と著者が語っているのは勘違いだろう。藤原氏の中には大勢いる。「梶原景時」は義経ビイキには仇役だが、頼朝派から見れば忠実な家臣だったから、「悪人」に入れるのは不適切。内容も凡庸。「北条政子」の物語は人口に膾炙していて目新しくないが、北条時政の政治的センスが光っていた事が再確認できる。「北条高時」は暗愚な執権として有名だが、「悪人」とは思えない。記述も時代背景を主体にしている。「景時」以降の三編で鎌倉時代の初頭と末期を描いているとも言える。「高師直」は好色で有名な足利家の執事だが、南北朝の放埓な空気(婆娑羅)が生んだ小悪党だろう。「足利義満」の章は「師直」の続編のようで、"大魔王"義満を取り上げたにしては物足りない。義満の怪物ぶりを強烈に描いて欲しかった。義満の突然の死に疑問を呈さないのも著者らしくない。
「悪人」伝とは思えないが、史料の綿密な考証と作家としての奔放な想像力を基に書かれており、歴史マニアには楽しめる本。
文藝春秋
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